あなたは請求書を発行したものの、入金は来月末…でも今すぐ資金が必要!というジレンマを抱えていませんか?
私も以前、フィンテックスタートアップを立ち上げた際、同じような悩みを抱えていました。
経営者にとって資金繰りの問題は尽きないものですよね。
特に成長期の中小企業やスタートアップにとって、売掛金の回収サイクルが資金ショートの原因になることは珍しくありません。
銀行で法人融資を担当していた頃、素晴らしいビジネスを展開していても、融資審査のハードルを越えられない事業者さんをたくさん見てきました。
そんな中で注目を集めているのが「ファクタリング」という資金調達手段です。
でも、ファクタリングには大きく分けて「2社間」と「3社間」の2種類の方式があり、どちらを選ぶべきか悩む経営者の方も多いはず。
この記事では、銀行員からフィンテック企業、そして独立系FPになった私の経験をもとに、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いを徹底比較し、あなたのビジネスに最適な選択肢を見つけるポイントをご紹介します。
目次
2社間ファクタリングの基礎知識
2社間ファクタリングの仕組み
2社間ファクタリングは、その名の通り「あなたの会社」と「ファクタリング会社」の2社で完結する資金調達方法です。
具体的には、あなたが取引先に発行した請求書(売掛金)をファクタリング会社に買い取ってもらいます。
たとえば、100万円の請求書を90万円でファクタリング会社に売却し、すぐに資金化するという流れです。
この方式の最大の特徴は、売掛金の債務者である取引先(支払い側の会社)に知られることなく資金調達ができる点です。
つまり、「うちの会社、資金繰りが厳しいのかな?」と取引先に思われる心配がありません。
請求書の支払期日になれば、取引先はあなたの会社に支払いを行い、あなたはその資金をファクタリング会社に支払います。
または、ファクタリング会社が指定する口座に直接支払いを行う形式もあります。
メリット・デメリット:実はこんなところがポイント
2社間ファクタリングの最大のメリットは、何といってもスピード感です。
最短即日で資金調達ができるケースも珍しくありません。
審査も比較的シンプルで、創業間もない企業でも利用しやすいという特徴があります。
さらに、取引先に知られないため、ビジネス関係に影響を与えない点も大きな魅力です。
特に大口取引先との関係を気にする中小企業にとっては、このメリットは大きいでしょう。
一方で、デメリットとしては手数料が割高になる傾向があります。
一般的に、2社間ファクタリングの手数料は売掛金額の10〜15%程度と、3社間と比べると高めです。
これは、ファクタリング会社側のリスクが高いためです。
また、万が一あなたが支払いできなくなった場合、二重払いのリスクが取引先に発生する可能性もあります。
3社間ファクタリングの基礎知識
3社間ファクタリングの流れ
次に3社間ファクタリングですが、こちらは「あなたの会社」「ファクタリング会社」「取引先(債務者)」の3社で契約を結ぶ方式です。
2社間と大きく異なるのは、取引先にファクタリングの利用を知らせ、承諾を得る点です。
具体的な流れとしては:
- あなたの会社がファクタリング会社に申し込みを行う
- ファクタリング会社が取引先に連絡し、債権譲渡の承諾を得る
- 契約が成立し、ファクタリング会社からあなたに資金が支払われる
- 支払期日に取引先はファクタリング会社に直接支払いを行う
この方式の場合、ファクタリング会社は主にあなたの取引先の信用力を評価します。
銀行融資では自社の信用力や担保が重視されるのに対し、3社間ファクタリングでは取引先の支払能力が焦点となるのです。
メリット・デメリット:取引先の理解がカギ
3社間ファクタリングの最大のメリットは、手数料の安さです。
一般的に売掛金額の5〜10%程度と、2社間より低く抑えられることが多いです。
これは、ファクタリング会社にとってリスクが低いためです。
取引先から直接回収できるため、未回収リスクが大幅に軽減されるのです。
また、取引先も含めた正式な契約となるため、法的な安定性も高いというメリットがあります。
しかし、最大のデメリットは取引先の承諾が必要という点です。
「資金繰りが厳しいのでは?」と取引先に思われる可能性があります。
長年の取引関係がある信頼できる相手なら問題ないかもしれませんが、新規取引先や大口取引先の場合は慎重に判断する必要があるでしょう。
また、承諾を得る過程で時間がかかるケースも多く、即日資金化を望む場合には不向きな面もあります。
2社間vs3社間:経営者視点で見る比較ポイント
手数料・スピード・信用リスクの徹底比較
ここからは、経営者の視点から両方式を比較してみましょう。
まず手数料ですが、前述の通り3社間の方が一般的に安くなります。
【手数料比較】
2社間:売掛金額の10〜15%程度
3社間:売掛金額の5〜10%程度
ただし、資金調達額や取引先の信用力によって大きく変動するため、複数社から見積もりを取ることをおすすめします。
スピード面では圧倒的に2社間が優位です。
2社間なら最短で申込当日、通常でも2〜3営業日程度で資金化できます。
一方、3社間は取引先の承諾を得る時間が必要なため、1週間〜2週間程度かかるのが一般的です。
信用リスクについても違いがあります。
2社間の場合、あなたが資金調達したことを取引先は知りません。
そのため、取引関係に影響を与えにくいというメリットがある反面、万が一のトラブル時には取引先との間で複雑な問題が発生する可能性もあります。
3社間では取引先も契約関係に入るため、法的な安定性は高いといえるでしょう。
取引先との関係をどう考えるか?
実は私が銀行員だった頃、ファクタリングを利用したことで取引先との関係が良好になったケースを何度か見てきました。
債権譲渡を承諾することで「この会社の資金繰りを支援しよう」という意識が生まれ、逆に関係強化につながったのです。
特に、以下のようなケースでは3社間が良い結果をもたらすことがあります:
- 長期的な取引関係がある信頼できる取引先
- 取引先自身も中小企業で資金繰りの苦労を理解している場合
- 成長のための資金調達であることを説明できる場合
一方で、以下のようなケースでは2社間を選ぶ方が無難でしょう:
- 新規取引先や大企業との取引
- 取引の継続性に不安がある場合
- 競争が激しい業界で代替先が多い場合
結局のところ、取引先との関係性や業界の特性によって最適な選択は変わってきます。
あなたのビジネスに合うファクタリング方式の選び方
事業規模・資金繰りの目的別に考える
ここからは、具体的にどちらの方式が適しているかを、事業規模や目的別に考えていきましょう。
1. 小規模事業者・創業間もない企業の場合
- 審査のハードルが低い2社間が適していることが多い
- 信用力構築の途上では即時性を優先するのが現実的
- 少額から利用できる2社間サービスも増えている
2. 中規模企業・安定した取引関係がある場合
- コスト優先なら3社間を検討する価値あり
- 長期的な資金計画の一環として継続利用するなら安価な3社間が有利
- 取引先と協力関係を築きたい場合は3社間が効果的
3. 資金調達の目的別
- 突発的な資金需要:スピード重視の2社間
- 季節変動対応:計画的に準備できるなら3社間
- 成長投資:目的を取引先に共有できるなら3社間も有効
また、業種によっても適している方式は異なります。
例えば、建設業や製造業など大口取引先との長期契約が多い業種では3社間が向いていることが多いです。
一方、小売業やサービス業など多数の取引先と関わるビジネスでは、シンプルな2社間が使いやすいでしょう。
申し込み手順と注意点:実はこれ、意外と簡単です
最後に、ファクタリングの申し込み手順と注意点についてご紹介します。
実は、ファクタリングの申し込みは思ったより簡単です。
基本的な流れは以下の通りです:
- ファクタリング会社に問い合わせ(オンラインでも可能)
- 必要書類の提出
- 審査
- 契約締結
- 入金
必要書類は一般的に以下のものです:
- 取引先との契約書や発注書
- 請求書のコピー
- 会社の登記簿謄本
- 決算書(あれば)
- 身分証明書
審査のポイントとなるのは主に以下の点です:
- 取引先の支払能力と信用力
- 過去の取引実績(継続的な取引かどうか)
- 請求書の正当性
トラブルを避けるためのチェックポイントとしては:
- 手数料や諸費用の詳細確認(隠れコストがないか)
- 契約書の内容確認(特に遅延時のペナルティ)
- ファクタリング会社の信頼性チェック(口コミや実績)
フィンテック企業で働いていた経験から言うと、一度利用してみると「意外と簡単だった」と感じる経営者の方が多いです。
まずは資料請求や見積もり依頼から始めてみることをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?2社間と3社間ファクタリングの違いについて理解いただけたでしょうか。
改めて両方式の強みとリスクをまとめると:
2社間ファクタリング:
- 取引先に知られず、素早く資金調達できる
- 手続きがシンプルで利用しやすい
- 手数料は比較的高め
3社間ファクタリング:
- 手数料が安く抑えられる
- 法的な安定性が高い
- 取引先の承諾が必要で時間がかかる
銀行員時代、フィンテック企業時代、そして独立後の経験から言えることは、選択の最終決断は「今、何を優先すべきか」にかかっています。
スピードと取引先への非開示を重視するなら2社間、コストと安定性を重視するなら3社間を選ぶのが基本です。
ただし、これは一般論であり、個々の状況によって最適解は変わります。
たとえば、創業期は2社間を利用し、事業が安定してきたら3社間に切り替えるという使い分けも有効です。
私自身、フィンテックスタートアップを立ち上げた際は、最初は2社間を利用し、取引先との関係が深まった後に3社間に移行しました。
大切なのは、「資金調達」を単なる緊急対応ではなく、経営戦略の一環として位置づけることです。
ファクタリングは、使い方次第であなたのビジネスの強力な味方になります。
まずは複数のファクタリング会社に資料請求や見積もりを依頼し、比較検討することから始めてみてはいかがでしょうか。
金融のプロに相談することも、正しい選択への近道です。
「今日からできる一歩」は、情報収集から始まります。
あなたのビジネスに最適なファクタリング方式が見つかることを願っています。